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「打焦賛」とは?
飯炊きの少女「排風(はいふう)」が、強面の将軍「焦賛(しょうざん)」を腕試しで打ちのめすという物語で、コミカルでありながら、伝統的な京劇様式をしっかりと押さえた名演目です。
中国では著名な歴史小説「楊家将演技」の一節で、この小説をテーマにした演目は「三岔口」や「穆桂英」など優れた作品が多数あります。本演目のタイトルになっている「焦賛」はそれら演目全てに登場するキャラクターです。
本来、この演目の前後には「打孟良」「打韓昌」という演目があり、これら3本を合わせて排風が主人公となる一つの物語となります。 |
<楊排風:張桂琴、焦賛:張春祥> |
本編までのあらすじ
三関の地で陣を張る「楊延昭」は
息子の「楊宗保」を
敵将「韓昌」に囚われてしまいます。
猛将「韓昌」には宋国の二十四将、
誰も歯が立たず、仕方なく「楊延昭」は
将軍「孟良」「焦賛」 に命じて
各地に援軍を求めに行かせました。
ところが
「孟良」が連れてきたのは、
たった一人、本家で飯炊きをしていた
女の子「楊排風」でした… |
<楊延昭:侯偉> |
序章
<排風と孟良:殷秋瑞による馬趟子> |
「孟良」の呼びかけに、自ら応えた「排風」。
実は本家の奥様に鍛えられた棒術の達人なのですが、
そうとも知らぬ「孟良」は小娘と侮り、
腕試しをしてボロ負けしたのでした。
本陣へと急ぐ「排風」と「孟良」。
「孟良」は『私は、お主の実力を認めているが
弟分の将軍「焦賛」は納得しないかもしれんな』
と言うと「排風」は『考えがあります』と
自信満々に応えるのでした。
この場面は『馬趟子(マタンズ)』と呼ばれる
馬に乗る様式で、道行きを表現します。 |
第一幕 宝帳
「孟良」到着の知らせを聞いた「楊延昭」は
早速、援軍のことを尋ねます。
「孟良」に「排風」を紹介されると
最初は驚きますが、自信満々な
「排風」のセリフに納得するのでした。
この場面では「扑灯蛾(pū dēng é )」という
ラップ調のフレーズ回しで
自分の実力をアピールします。 |
<実力をアピールする「楊排風」>
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<賭けをする「孟良」と「焦賛」> |
そのころ、ちょうど「焦賛」も本陣に戻ってきました。
「孟良」は『援軍を連れて来たぞ!』と
自信満々に「排風」を紹介しますが、
兄貴分が連れてきたのが小娘一人と知って
「焦賛」は『納得がいかない!』と騒ぎ出します。
そこで「排風」と「焦賛」で腕試しをすることに。
「孟良」は「排風」が負けたら市中引き回し、
「焦賛」は負けたら土下座するという賭けをするのでした。 |
第二幕 演習場
<「排風」と「焦賛」の走辺> |
「排風」と「焦賛」はそれぞれ
対決の場となる演習場に向かいます。
ここでは「走辺(ゾウビェン)」と呼ばれる
道行きの様式で、
キャラクタの特徴を表現します。 |
<「排風」と「焦賛」の立ち回り> |
いよいよ棒での腕試しが始まります。
「排風」は最初は負けたフリをして
「焦賛」はどんどん調子に乗ります。
しかし「排風」が本気を出すと
「焦賛」は手も足も出ません。
いいようにあしらわれて
最後には打ち倒されてしまうのでした。
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<気絶した「焦賛」>
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