新潮劇院 京劇公演『刺巴傑・貴妃酔酒』
京劇をまだご覧になったことのない方、はじめまして!そして戯迷(シーミィ・京劇好き)の方々にはお待たせをいたしました。世田谷を拠点にして京劇普及活動を続けて23年目、新潮劇院は今年も世田谷にて京劇公演を開催致します。
今回は武丑(ウーチョウ・立ち回る道化役)の京劇俳優・劉佳が新潮劇院のステージに初登場!彼がもっとも得意とする日本初上演の武劇をお届け致します。そして、劇団の創立メンバーであり名優・張君秋の孫である盧思が傾国の美女・楊貴妃を熱演します。
上演前には加藤徹・平林宣和の両先生による京劇レクチャーがあり、京劇をはじめて鑑賞する方でも安心して本編をご覧いただけます。また、開場時間には私どもが運営する京劇教室・世田谷こども京劇団による実演も行います。
日中双方の芸術を愛してやまない我々だからこそできる在日京劇団ならではの京劇公演をぜひお楽しみください。
公演情報
新潮劇院 京劇公演『刺巴傑・貴妃酔酒』
日時
2019年5月26日(日) 開場 15:00 / 開演 16:00 ※全席指定、字幕付き会場
北沢タウンホール出演
盧思、劉佳、劉東風、程孫耘、侯偉、石山雄太、黄鑫洋、茶谷力輝、樋口理世、張飛鳳、竹口美鈴、貴船惠子、野口友椰レクチャー
加藤徹(明治大学教授)、平林宣和(早稲田大学教授)スタッフ
演出:張春祥/監修:張桂琴/字幕:安藤弘人、宇都宮房子/着付:チャンチンホイ/司会:張烏梅/企画・制作:梅木俊治チケット
一般:4,300円 / 世田谷区民:3,800円/ 学生:2,000円 / (FC:3,500円)
後援
中国大使館文化部/世田谷区

演目情報
刺巴傑(しばけつ・ツーバージェ)

明代の任侠小説「绿牡丹」の一節です。
旅をしていた駱宏勛(らくこうくん)は、妻を奪おうとやってきた巴傑(ばけつ)と諍いの末、誤って刺し殺してしまいます。駱は逃げる途中でたまたま同門である胡璉(これん)の弟・胡理(こり)が営む宿屋でかくまってもらいます。一方、巴傑の死の知らせを受けた母親・馬金定(ばきんてい)は息子の仇を探して胡理の宿へとやってきます。
武丑(ウーチョウ・立ち回る道化役)と武旦(ウーダン・立ち回る女性役)による素早い立ち回りが見所。
胡理:劉佳(りゅうけい・リュージァ)

中国国家京劇院で活躍した国家二級俳優。劉習中、張春華などの名優に師事。2008年第6回CCTV全国青年京劇演員電視大賽銀賞受賞。専門は素早いアクション・立ち回りを得意とする難役・武丑。
貴妃酔酒(きひすいしゅ・グーフェイズイジウ)

唐代の皇妃・楊貴妃は玄宗皇帝と酒宴の約束を取り交わしたものの、皇帝は約束を忘れて別の女性が待つ宮へ。知らせを受けた楊貴妃は嫉妬のあまり一人で酒を飲み、大いに酩酊すると一人寂しく宮へ帰っていきます。
ほぼ全編が主演一人による演舞で、表向きとして皇帝の寵姫としての美しさ・気品・気位を持ちつつ、女性として内面に寂しさを抱える、という心の機微を唱や表情で繊細に描くため俳優には相応の力量が求められます。
かつての女形の名優「梅蘭芳」の代表作の一つであり、今年百周年となる初訪日公演では大いに日本の観客を魅了しました。
楊貴妃:盧思(ろし・ルースー)

国宝級の京劇女形「張君秋」の孫。
祖父の影響を受け、12歳で中国戯曲学院京劇コース入学。青衣(チンイー・成人女子)と花旦(ホワダン・未婚の少女)を専攻し、中国国家京劇院をはじめとして多くの公演に参加。
1997年に来日し、京劇俳優として活躍する傍ら東京芸術大学日本画コース修士課程を修了。日本画家としても活躍。日中両国で個展を開催。国立静岡大学人文学部・日本大学国際関係学部非常勤講師担任。
京劇レクチャー
各演目上演演前に京劇の様式や見所などを、日本での京劇研究の第一人者である両先生にレクチャーしていただきます。
加藤徹(かとうとおる)

明治大学教授。1963年、東京生まれ。2002年『京劇』でサントリー学芸賞受賞。主著に「京劇」「梅蘭芳 世界を虜にした男」「絵でよむ漢文」など。
■ホームページ [京劇城]
平林宣和(ひらばやしのりかず)

早稲田大学教授。1966年生まれ。主著に「京劇俳優の二十世紀」、中国都市芸能研究会叢書03『近現代中国の芸能と社会 皮影戯・京劇・説唱』など。
唱クラス・世田谷こども京劇団による発表


開場中となります15:15~15:45には新潮劇院が開催しております唱クラスと世田谷こども京劇団による発表があります。日本の地で中国伝統芸能に取り組むのは生半可なことではありませんが、それぞれが努力を重ねて参りました。お時間のある方は、ぜひお早めに会場までお越しいただき、熱演する彼らに温かい声援をいただきますと幸いです。
そして「一緒にやってみたい!」と感じられましたらば各教室にもご参加ください。