東村山市日中友好協会主催。中国理解三連続講座第二弾。今年、初訪日100周年記念を迎える名優・梅蘭芳(メイランファン)の演目を中心に、中国伝統芸能「京劇」演目を解説を交えながら上演致します。京劇レクチャーは京劇研究の第一人者である明治大学教授・加藤徹先生。
中国を代表する伝統演劇です。激しい銅鑼や太鼓の伴奏の中、豪華な衣装・派手なメイクで登場し、色々な技を披露しながらお芝居を演じます。元々は庶民の娯楽として親しまれてきたもので、主演の登場や、見事な技を繰り出した時には拍手や「好(ハオ!)」の掛け声をかけて演者を応援し、演者はそれに応えてさらに熱演を繰り広げます。英語では「ベイジン・オペラ」とも呼ばれ優雅な唱(チャン)が最大の見所です。
仏教の経典「維摩経(ゆいまきょう)」を元にした演目で、天女が天界より舞い降り、花を撒いて下界を清めます。かつての女形の名優「梅蘭芳」の代表作のひとつでもあります。長袖を使った演舞が特徴的で、俳優は袖の振り方や「圓場(ユァンチャン)」という京劇独特の足はこびなどを駆使して、天女が優雅に空を舞う様子を表現します。
また、劇中で歌われる唱は経文が元になっており、中国人が聞いても難解な内容になっています。これは、意味よりも言葉の響きによって仏教的な雰囲気を作り出す、という意図があります。伝統芸能の技による神秘的なひと時を心ゆくまで堪能してください。
仙台出身。学生時代に学校で開催された京劇鑑賞会で京劇舞台に関心を持つ。新潮劇院の京劇研修制度創立メンバーとして参画。中国演劇の最高学府である中国戯曲学院で講師も勤めた京劇俳優・張桂琴の指導のもと上品な女性から激しい立ち回りまで幅広い役柄をこなす。
孫悟空が、まだ三蔵法師に出会う前、暴れん坊だった頃のお話です。下界での孫悟空のいたずらに手を焼いた神様たちは、目の届くところに置いて監視しようと「天界の桃園の番人」という仕事を与えました。孫悟空はそうとも知らず「やっと神様の一員になれたぞ!」と大喜びで天国までやって来ます。ところが、神様たちが集まるパーティーには自分が呼ばれないことを知って「どういうことだ!」と怒り出し・・・ついには神様たちとの大ゲンカに。
猿とも人ともつかない孫悟空の独特な振る舞いや、まだ一人でいたころの自由でやんちゃなキャラクター、そして立ち回りや見事な棒回しなど見所がたくさんある演目です。
東京生まれ。小学生のとき、中国から来日した京劇団の公演で孫悟空を見て以来、京劇に魅了され、高校を卒業後、中国に渡り、京劇を指導する最高教育機関「中国戯曲学院」に留学。卒業後は中国トップの京劇院・中国京劇院(現・中国国家京劇院)に入団し、京劇界初となる外国人(日本人)の京劇俳優となる。2008年、北京京劇院日本公演「西遊記~無底洞の巻」に孫悟空役で主演。現在は中国・日本の両国で活躍している。専門の役柄は立ち回りを交えた幅広い演技力を要求される道化役「武丑(ぶちゅう)」。
中国を統一した秦の始皇帝が亡くなった後、覇権を争った二人の英雄「項羽」と「劉邦」。覇王・項羽は戦場では無敗を誇る勇将でしたが、謀略や情報戦で劉邦側に負け、とうとう垓下(がいか)の地で包囲されます。最期が近いことを知った「項羽」は軍営の中で妃である「虞姫」と別れの杯を交わします。『四面楚歌』の故事で有名な場面です。
京劇を代表する女形の名優「梅蘭芳」のために描き下ろされた戯曲で、チェン・カイコー監督の映画「さらば、わが愛/覇王別姫」でも題材とされた名演目です。全体を通して流れる悲哀、そして「虞姫」の見事な剣舞から続くクライマックスは、古今に渡って観客の心を捉えて離しません。
中国戯曲学院大学演劇学科卒業、同大学院を修了。山西省京劇団で京劇俳優として活躍する一方、14年間にわたり母校演劇科の教員を務め、日本や韓国でも京劇の特別講師を務める。新潮劇院では研修生専任の講師。
1960年7月18日北京生まれ。祖父の代から京劇を家業とする京劇一家の三代目。北京戯曲学校卒業後、北京京劇院に13年間所属。
1989年来日後は、中島みゆき「夜会」、蜷川幸雄演出・東山主演「さらばわが愛・覇王別姫」などをはじめとして、舞台、ミュージカル、TV、映画、振り付け、立ち回り指導、ワークショップなどで活躍。
1996年から京劇団「新潮劇院」を主宰する
各演目上演演前に京劇の様式や見所などを、日本での京劇研究の第一人者である加藤徹先生にレクチャーしていただきます。
明治大学教授。1963年、東京生まれ。2002年『京劇』でサントリー学芸賞受賞。主著に「京劇」「梅蘭芳 世界を虜にした男」「絵でよむ漢文」など。
■ホームページ [京劇城]