日本の「狂言」と中国の「京劇」。 ともにユネスコ無形文化遺産に登録された伝統芸能が融合したら、一体どんな新しい笑いが生まれるのか――その未知の可能性に挑む実験的なコラボレーション公演です。日中でも人気のある「孫悟空」の物語をテーマに、伝統を越えた新しい表現を追求し、双方の表現が出会い、ぶつかり合いながら生まれる新たなアジアの喜劇。予測不能な展開が織りなす笑いの世界を、ぜひその目で見届けてください。
イベント情報
アジアの喜劇 狂言×京劇=?
日時
2024/02/16(日) 17:00開場 / 18:00 開演※自由席、字幕付き
会場
銕仙会 能楽研究所・能舞台(港区)出演
石山雄太、小笠原由祠、小笠原弘晃、泉愼也司会
張烏梅演出
張春祥主催
一般財団法人日本京劇振興協会助成
独立行政法人 日本芸術文化振興会チケット
一般:4,000円/学生2,000円演目紹介
御馬監(ぎょばかん)
西遊記の一節。孫悟空が、まだ三蔵法師と出会う前の頃の話。神通力を用い下界で好き勝手な振る舞いをする孫悟空を見兼ねた天帝は、孫悟空を監視下に置くために、うまく丸め込んで馬の管理役「弼馬温(ひつばおん)」として天界へと招集します。この役職が下級役人であることを気づかぬ孫悟空は意気揚々と天界にやってくるのですが…。
出演
能楽師狂言方和泉流:小笠原由祠(おがさわら ただし)
重要無形文化財総合指定保持者。萬狂言関西支部代表、パリ・コンセルバトワール特別講師。延年之會主宰。
野村萬(人間国宝)、故8世万蔵、9世万蔵に師事。狂言の大曲である「奈須与市語」「三番叟」「釣狐」「金岡」「花子」を披く。
NHK『義経』『ごちさそうさん』での芸能・所作指導他、その活動は多岐に渡り、2006年より現在まで「見る・知る・伝える千葉~創作狂言~」をプロデュース。毎年千葉県の神話民話風習を創作狂言に劇作・演出。2023年12月、第1回「ネオ狂言会」にて赤塚不二夫ギャグ漫画を題材として新作狂言「ポルチーニ」を劇作・演出・主演。2024年には、第1回「おがさわら乃會」発足。平安から鎌倉期の猿楽を復元考証創作し上演。
海外活動では2019年2月ジャポニズム2018能楽パリ公演、2023年3月、太陽劇団テアトル・デュ・ソレイユ能楽公演、2023年5月、ベトナムにて初となる能楽公演をはじめとして、ブラジル、ハンガリー、アルジェリアなど世界各国にて公演を行い、狂言の普及に努めている。
ホームページ:http://www.atelier-oga.com/
京劇俳優:石山雄太(いしやまゆうた)
東京生まれ。小学生のとき、中国から来日した京劇団の公演で孫悟空を見て以来、京劇に魅了され、高校を卒業後、中国に渡り、京劇を指導する最高教育機関「中国戯曲学院」に留学。卒業後は中国トップの京劇院・中国京劇院(現・中国国家京劇院)に入団し、京劇界初となる外国人(日本人)の京劇俳優となる。2008年、北京京劇院日本公演「西遊記~無底洞の巻」に孫悟空役で主演。現在は中国・日本の両国で活躍している。専門の役柄は立ち回りを交えた幅広い演技力を要求される道化役「武丑(ぶちゅう)」。2017年より立教大学兼任講師を務める。
能楽師狂言方和泉流:小笠原弘晃(おがさわら ひろあき)
2001年生まれ。初世野村萬(人間国宝)、九世野村万蔵、及び父 小笠原由祠に師事。3歳で初舞台「靱猿」(大名:野村萬)を踏む。以降定期的に舞台を勤め、2017年に「千歳」「奈須与市語」を、「三番叟」を披く。
2014年13歳の頃より拠点をフランス・パリに移し、ブローニュ地方音楽院CRR de Boulogneにて音楽学理を専攻。現在はパリ第一ソルボンヌ大学にて美術学を専攻しながら日本とフランスにおいて定期的な公演及び日本文化の普及活動に取り組む。
能楽師狂言方和泉流:泉愼也(いずみ しんや)
公益社団法人 能楽協会会員。「萬狂言」関西支部所属。2001年「小笠原匡 狂言の会」の研修生として入所し、小笠原由祠に師事。2005年には大阪能楽養成会(主任講師・観世流シテ方 大槻文蔵)に入門。 シテ謡・笛・小鼓ほか能楽全般を学ぶ。翁「千歳」、奈須与市語を披く。
愛知万博記念公演「ふるさとの四季」、8世野村万蔵追善春公演「唐人相撲」、本能楽堂80周年記念能等に出演。海外ではパリ・ドレスデン・ベルリン欧州公演、ベルギー・パリ公演など。
司会:張烏梅(チャン ウーメー)
日本人京劇俳優。新潮劇院京劇教室設立時からのメンバー。主宰・張春祥に師事。「文丑(ぶんちゅう:会話専門の道化役)」として舞台出演をする傍らプロデュース、制作、楽曲作成、演出など団体運営全般を統括する。司会進行・京劇レクチャーも担当。奥深い知識を道化役らしい軽妙な語り口で解説し、初心者にもわかりやすいと毎回好評を博している。一般財団法人 日本京劇振興協会 常務理事。
演出
張春祥(ちょうしゅんしょう)
新潮劇院主宰。一般財団法人日本京劇振興協会代表理事。祖父の代から京劇を家業とする京劇一家に生まれ、自身も北京京劇院に13年間所属。イギリス・ポーランド・オーストラリアなどの海外公演で主演を務め好評を博した。1989年来日後は、中島みゆき「夜会」、蜷川幸雄演出・東山主演「さらばわが愛・覇王別姫」、宝塚歌劇団「蒼穹の昴」などをはじめとして、舞台、ミュージカル、TV、映画、振り付け、立ち回り指導、ワークショップなどで活躍。1996年から京劇団「新潮劇院」を主宰する
上演前レクチャー
上演前には毎回好評の明治大学教授・加藤徹によるレクチャーがあります。狂言・京劇双方の様式や、演目の見どころなどに理解を深めてから本編を鑑賞することができます。
加藤徹(かとう とおる)
明治大学教授。1963年、東京生まれ。京劇研究の第一人者として、日本はもとより中国でも定評がある。2002年『京劇』でサントリー学芸賞受賞。主著に「京劇」(中公叢書)「梅蘭芳 世界を虜にした男」(ビジネス社)「絵でよむ漢文」(朝日出版社)など。NHKラジオ中国語講座の講師を歴任。
■ホームページ [京劇城]