新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴うイベント情報
張春祥 還暦記念公演 林冲(Lin Chong) ~豹子頭の悲運~
- 申請中でした東京都の支援制度「アートにエールを!(ステージ型)」は不採択となりました。今後の動画配信等については検討いたします。(2020.08.21)
- 劇場公演におけるCOVID-19感染防止対策を掲載しました。(2020.08.19)
- 世田谷区と協議の結果、世田谷区民価格が5,000円→4,500円に変更となりました。(2020.08.19)
- 盧思は体調の問題により今回の出演取りやめとなり、黄鑫洋が代役を務めることとなりました。(2020.07.31)
- 東京都から発表された新型コロナウイルス感染症により延期・中止となった公演への支援制度「アートにエールを!(ステージ型)」申請のため、日程変更となり8/29(土) 15:30開演とさせていただきます。(2020.06.23)
- 日程の変更に伴い、チャンチンホイはスケジュール調整がつかず出演取りやめとなりました。楽しみにされていた方には申し訳ありません。(2020.06.23)
- 世田谷区の方針により、現段階では100席での実施とさせていただきます。(2020.06.23)
- その他、コロナウイルスへの対策を十分に注力した上での上演体制を準備致します。
- また状況が変わりましたらホームページ、SNSにて告知致します。
1996年に在日京劇団「新潮劇院」を立ち上げ、演出家・指導者・京劇俳優として日本での京劇文化振興を牽引してきた張春祥の還暦記念公演。メインタイトルはかつての名優たちが演じた水滸伝の伝統演目で、林冲(りんちゅう、リンチョン)が主役。
張春祥ファンの方、水滸伝マニアの方、戯迷(京劇愛好家)の方、ぜひお申込みを。
公演情報
張春祥 還暦記念公演「林冲(Lin Chong)~豹子頭の悲運~」
日時
2020年8月29日(土)開場 15:00 / 開演 15:30
※全席指定、字幕付き
会場
北沢タウンホール出演
張春祥、殷秋瑞、石山雄太、ほかスタッフ
演出:張春祥/企画・制作:梅木俊治チケット
一般:5,500円世田谷区民:4,500円
学生:2,000円
後援
中国大使館 文化部

演目情報「林冲」

今回上演する演目は、天雄星(てんゆうせい)の生まれ変わりであり、後に梁山泊(りょうざんぱく)で活躍をする林冲(りんちゅう)が水滸伝の中で初登場する段を抜粋したもので、各々の場面は「野猪林」「山神廟」とも呼ばれます。
禁軍(皇帝の近衛軍)の指導者として大いに地位と名声があり、美しい妻を持つ林冲は、周囲の嫉妬から罠にはめられて罪人へと身を墜とし、妻・親友・地位・名声すべてを失って天涯孤独の身となってしまいます。
この好漢に訪れる悲劇を描いた作品は古くから名優によって上演され、「覇王別姫」の項羽役などで有名な楊小楼(1878-1938)の持ち演目にもなりました。さらに月日が経つ中で改変が加えられ、後代の名優・李少春(1919-1975)の代表作として大成します。1962年には京劇映画も制作されました。

今回の演出・主演を務める張春祥は祖父の代より続く京劇一族の末子として生まれ、北京京劇院に入団。次第に父・張宝華(1930-2017)譲りの才覚を表し「武生(ウーション・立ち回る二枚目役)」として数多くの海外公演で主演を務めるようになります。
1989年に来日後は、舞台芸術の現場で活動する傍ら、イベントでの京劇出演も行ってましたが、そこで上演されるものは派手さを要求されるショー的な内容で、本来の京劇の持ち味を伝えるものではありませんでした。
そこできちんと伝統京劇を日本の皆様にお伝えするべく1996年に在日京劇団「新潮劇院」を設立します。在日京劇俳優と日本人俳優とで構成されたこの劇団は、来日公演よりもはるかに低コストで上演され、日本人にもわかりやすい演出やレクチャーが今日まで好評を博しています。

京劇での林冲というキャラクタには一つ一つの動きや表現に「武生らしさ」とでも言うべき特性が大いに反映されており、京劇学校では 「林冲夜奔」という演目が武生役の基礎演目として取り入れられています。
そんな林冲を愛してきた多くの名優たちと同じように張春祥も林冲というキャラクタには思いいれがあり、 2000年にシアターXにて 「林冲夜奔」を日本で初演。2013年にも再演しました。
これまで日中の架け橋を担い、京劇の普及に一心に臨んできた張春祥が人生六十年という節目を迎えるにあたり、これまで得てきた成果の集大成を、この武生を代表するキャラクタに注ぎこみ、皆様にご披露いたします。ぜひ見届けてください。
演目情報「断橋」

演目につきましては公演タイトルとなります「林冲」に加え、伝統京劇・白蛇伝より「断橋」を上演させていただきます。
白蛇の化身・白素貞を蛇とは知らず夫となった許仙は妻の正体を恐れて法海和尚の元に逃げ出すも、和尚に退治されそうな妻を心配して和尚の元から逃げ出し、二人の出会いの場所である西湖で再会します。夫婦の揺れ動く感情と絆を繊細な「唱(チャン:うた)」で表現する名演目です。
2020年2月に実施した「オペラと京劇」でも絶妙なコンビネーションを見せた張桂琴・程孫耘が主演、昨年度公演「林冲」で主演を務めた黄鑫洋が盧思の代役として助演と豪華キャストでお届け致します。
京劇レクチャー
各演目上演演前に京劇の様式や見所などを、日本における京劇研究の重鎮である両先生にレクチャーしていただきます。
加藤徹(かとうとおる)

明治大学教授。1963年、東京生まれ。2002年『京劇』でサントリー学芸賞受賞。主著に「京劇」「梅蘭芳 世界を虜にした男」「絵でよむ漢文」など。
■ホームページ [京劇城]
平林宣和(ひらばやしのりかず)

早稲田大学教授。1966年生まれ。主著に「京劇俳優の二十世紀」、中国都市芸能研究会叢書03『近現代中国の芸能と社会 皮影戯・京劇・説唱』など。